さわら

パッションのさわらのレビュー・感想・評価

パッション(2012年製作の映画)
4.5
前半は退屈。髪をまとめたりおろしたり、恥ずかしながら誰と誰がむすびつくのか、いまいちよくわからなかった。「見るの失敗したかな?」って思った矢先のスプリット・スクリーンと画面割りである!そこからは、あれよあれよとまくし立てられる感じ、見てて凄く気持ちよかった。またピノ・ドナッジオの音楽にも支えられ、鑑賞者はいつのまにか自分自身がイザベルの現と夢の世界を浮遊させられていることに気づかされる。そしてラストの悪夢的な終焉と「THE END」の文字、とてつもなくカッコイイ。70歳を過ぎてなお、ブライアン・デ・パルマはここにありと強く感じられた。日本人監督が日本人役者を使っても、こんなに印象深い作品にはならないだろう。独特な世界観、洋画鑑賞の醍醐味である。オリジナル版は見てない。しかし金髪・黒髪・赤髪の3人の圧倒的存在感、おそらくオリジナルに負けず劣らずなのでは。最後に今作の内容をうまく的射ている、作家ヴィクトル・ユゴーの名言を残す。
「女は非常に完成された悪魔である」