GreenT

再会の街でのGreenTのレビュー・感想・評価

再会の街で(2007年製作の映画)
1.0
アダム・サンドラー演じるチャーリーは、911で奥さんと子供を亡くし、そのトラウマを乗り越えることができずに、その日暮らしの生活を送っている。ドン・チードル演じるアランは、成功した歯科医で、キレイな奥さんと可愛い娘が2人いる。

この2人は、歯科医を目指していた大学時代のルームメイトだった。ある日アランは街でチャーリーを見かけ声をかけるが、チャーリーはアランのことを憶えていない。しかしアランとチャーリーは、一緒に過ごす内に友情を育み、アランはチャーリーを救おうとするが・・・・。

・・・というのが、この映画の「目指す姿」なのだろうが、何一つ達成できていない。今まで観た中で、最低最悪の映画。ここまでダメだと思う映画もなかなかない。

まず、チャーリーが、ただの頭おかしい人にしか見えない。911で家族を失った、という設定に何ら意味もないし、元々どういう人だったのかって描写もないから、悲劇が彼の人生にどんなインパクトを与えたのかもわからない。

アランは、そんなチャーリーに対して、何もかも手に入れたキャラとして描いているんだと思うが、「・・・しかし実は彼は家庭でも息が詰まるし、仕事もそんなに好きではない」という設定でもあるらしい。

リヴ・タイラー演じる若い精神科医に時々道端で話しかけるのが、家庭問題で悩んでいることを示唆しているらしいのだが、セリフ回しが下手というか、なにも表現していないので、全く響かない。

チャーリーとアランは大学時代にルームメイトだったという設定なのだが、チャーリーはアランを憶えていない。そもそも15年も会ってない、友達でも何でもない2人なのに、何でアランはそれほど執拗にチャーリーを救おうとするのかわからない。なので結局、2人は一緒に時を過ごす内に心を開いていくという設定なので、この「大学時代に云々」というのは全く意味ないし、却って話がややこしくなる。

チャーリーとアランが時間を過ごすシーンも、いつまでたっても2人の距離が縮まっているように見えない。チャーリーは最後まで心を開かないし、アランがチャーリーを救いたい動機も全くわからない。

監督・脚本のマイク・バインダーはインタビューで、「アランがチャーリーに、家庭の問題を打ち明けるシーンが良い」みたいなことを言っているのだが、明らかに精神を病んでいる人に、突然今まで全く見えなかった奥さんに対する不満をぶつけるって、全くわけがわからない。

チャーリーの奥さんの両親がチャーリーを救おうとするのだが、この2人もなにがしたいのか良くわからない、というか、チャーリーもそんなにこの2人を避けることもないと思うのだが、どうやらチャーリーは、奥さんと子供のことを思い出したくないから、知っている人に会いたくないらしいのだ。

しかしチャーリーの描き方が、「思い出したくない」のか「ショックで結婚したことさえ忘れている」のか、どっちなのか全然わからない。

あと、アランの患者で、サフロン・バロウズっての?すごいキレイな女優が演じる、診療中にアランにおフェラをしてあげると言って、歯医者を出禁になる女が出てくるのだが、こいつの必要性が何なのかさっぱりわからん。最後、この女はチャーリーの恋のお相手になるのでは、と示唆されるのだが、2人とも精神的に危ういのに、無責任にカップルにして大丈夫なのか。

監督は「音楽も自分にとっては大事な要素だ」とか言ってるんだけど、音楽の使い方が全く刺さらない。タイトルの『Reign over Me』も、ザ・フーの曲から取ったタイトルで、愛を失った男の歌とか?全編に渡ってスプリングスティーンなどの曲を使っていて、歌詞がその時のキャラの心情を表しているらしいのだが、雰囲気として「何でこの曲なの?」って全く意図しているところがわからない。

チャーリーとアランがドラムとギターをプレイしながら悪ふざけをしているシーンとかあるのだが、こういう必要のないシーンが多いのに、チャーリーがそもそもどういう人だったのかとか、キャラ設定として省けないような必須な描写が全くない。

もしかしたら、こういう映画に「ありがちな表現」を避けているのかな?あまりに独創的過ぎて通じてないとか?

チャーリーが、電動キックボードでニューヨークを駆け回る設定になっているのだが、このニューヨークの街並みの映し方も、自己満足的で鼻につく。ニューヨークって本当に街並みが良くって、ニューヨーク舞台の映画では必ず街並みをバックグランドに見せ、それがやっぱりいいなあ〜って憧れるのだけど、この映画に関してはなんか、「こんなステキな街に起こった悲劇だったんだよ、911は。これを見ただけでわかるだろ?なにも説明することないだろ?」って言っているような高飛車な感じがする。

どうも監督は、「笑えて泣ける」感動的な映画にしたかったらしいのだが、深刻なところでコメディ的な音楽がかかったり、アダム・サンドラーの頭おかしい振りが、笑っていいのか深刻なのか、泣くところなのか全くわからない。これがiMDbでは、7.5/10と結構高評価なことに本当にビックリしたが、ユーザー・レビューの中に、「911が背景にあると言われるとそれだけで感動しちゃう人がいるからでは」って言ってる人がいて、あり得ると思った。