かえるのエリー

再会の街でのかえるのエリーのレビュー・感想・評価

再会の街で(2007年製作の映画)
3.8
2008/01/12

 正直アダム・サンドラーってあまり好きじゃないんですよね。「パンチ・ドランク・ラブ」で”なんじゃこりゃ~!”ってショックが大きかったので。でも、彼が長髪でいつもと感じがちがうのと、なによりもドン・チードルが好きなので観に行ってきました。感動作が観たい気持ちもあったし。

 9・11で家族をいっぺんに失ったチャーリー(アダム)。その心の傷はあまりにも深く、ただそれはテロリストへの怒りや運命を責めるものではなく、自分に向けられたものだから、「忘れる」「思い出さない」という現実逃避に行ってしまうしかなかったのでしょう。。。 それに対し、何事も順調に見える、大学時代のルームメイトで歯科医のアラン(ドン)も、幸せな家族がありつつも、漠然としたもどかしさを抱えながら生きていた。。。

 私が感じたのは、人間はとても脆い生き物で、たった言葉一つで人生が変わってしまうということ。チャーリーが淡々と家族の事を語りだした時、アランがチャーリーの言葉に押されて行動を仕掛けた時。言葉は人を弱くも、そして強くもするんですね。

 主役の二人は複雑な心境を見事に演じてますね。さすがです。正直コメディアンが演技派に転向したいのかシリアスなものに出始めることに最近疑問を感じますが(コメディを極めるって道も面白いと思うのだけどね)、きっと表現が豊かなのでしょう。

 原題「Reign Over Me」というタイトルは、’70年代に活躍したイギリスのロックバンド、The Whoの「QUADROPHENIA」というアルバム(映画にもなってます、あのスティングが出てます)の中の曲からきていることもあり、主人公たちが大学時代に聞いた音楽が沢山盛り込まれてます。サントラも良さそうですね。