JIZE

サプライズのJIZEのレビュー・感想・評価

サプライズ(2011年製作の映画)
3.7
賛:突然襲撃ものとして特に前半の正体不明の覆面集団が外部からクロスボウや殺傷能力のある仕掛けで矢継ぎ早に距離感をつめて奇襲をかけるくだりが身に迫る不穏感をだしだいぶ秀逸。また殺しかたも残虐で手加減抜きで本当の恐怖を覗かせる魅せかたである。平穏な場所で突如奇襲を受けた時にその場に居合わせた普通の人間たちは果たしてどう順応できるか…人間の真価が問われる浅そうで深いスリラー映画だったように思えました。冒頭の懺悔の幕開け描写が逃げ込んだ中盤で絶望的にクロスする地形を配した構造のホラーな連ねかたもお見事です。

否:主人公覚醒ものとして後半から作風が一転するため狂気染みた武装集団に対して主人公が一人で先を読み言動に隙がなくあるいは偶然がよい結果に結び付きすぎている。。立場逆転による一定のカタルシスはあるが論理的に説明しづらい強運の持ち主化していて主人公の脆い性質をもう少しデフォルメして欲しかった。実はあいつとあいつがに対する黒幕?の描き込みもいい人感を微妙にまだ断ち切れてないので武装集団との強烈な対比が否めなかった。

今年の2月に観た『ストレンジャーズ(08,18年)』シリーズみたく襲う側の物騒な正体不明感がこの種の襲撃ジャンルは面白いのであって身元が犯人の口頭で明かされた瞬間に失速するやだ味はこのサプライズにおいて最大の盲点だったように思える。むしろ正体を明かさずバッドエンドぐらいに振り切ったほうが傑作へ昇華できたのではないか。終盤で一応の作品本来の目的が黒幕の口から示されるため正統な締めかたとして決して悪くはなかったが前半で魅せたバイオレンスな疾走感が後半では皆無で展開が伸びそうで伸びないそんな惜しい映画であった。
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