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her/世界でひとつの彼女のodyssのレビュー・感想・評価

her/世界でひとつの彼女(2013年製作の映画)
3.5
【ドタバタ喜劇だったら】

幼なじみでもある奥さんとの間がうまくいかなくなっている中年男が、進化したコンピュータの女性としての対応に癒やされる、というお話。

むかしむかし、筒井康隆の短篇で似たようなお話があったと記憶します。女権が強くなって男は結婚をしたがらなくなり、代わりに進歩したロボットが至れり尽くせりの妻として男に仕えている、というような設定でした。

この映画でも、幼なじみでもある元妻はあんまり魅力がないというか、なんでこんなのと結婚したの?と言いたくなっちゃうくらいの女性です。でも主人公は今でも彼女のことを想っているという筋書き。

この筋書きが、甘いという気がするんですよね。どうせなら進化したコンピュータに惚れてしまって元妻なんかすっかり忘れてしまう、という展開のほうが面白かったと思う。ドタバタ喜劇調の映画にしてしまえ、ということですね。

もう一つ問題なのは、エイミー・アダムスの位置です。なんかよく分からないし、中途半端なんです。主人公とは友だち関係ということなんだろうけど、でも観客からすると元妻より女性としての魅力はあるし、主人公がそっちにふらふらしたほうが分かりやすい。

最初に欠点だけ挙げてしまいましたが、この映画の見どころは何と言っても進化したコンピュータが主人公にしっかりとした心のこもった対応をするシーンです。ここを味わうことができれば、他はまあどうでもいい。スカーレット・ヨハンソンの声だけの演技も聞きものです。
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