ぎー

her/世界でひとつの彼女のぎーのレビュー・感想・評価

her/世界でひとつの彼女(2013年製作の映画)
3.0
「君がどうなろうとも、世界のどこにいようとも、僕は君に愛を送る。君は死ぬまで僕の友人だ。」
OSと人間の男性との異色のラブストーリーだった。
世界観も興味深いし、斬新な意欲作だと思ったけど、あと一歩盛り上がりがなくって、エンタメとしては惜しい感じだったかな。

近未来の世界を描いた映画は沢山あるけど、この映画の近未来のロサンゼルスは実現しそうなところがあって、何故かリアリティがあった。
AIの活用方法とか音声で全ての動作を行なっているところもそうだし、街並みやファッションも極端ではないけど未来性を感じさせられるデザインだった。
兎に角映画全体を包んでいる雰囲気は素敵だったと思う!
この素敵さがないと、主人公の男性はOSに恋をしちゃう、現代で言えば所謂オタクなわけで、結構下ネタもガンガン出てくるので、なかなか正視できない映画になっちゃっていたかも。

OSを購入して、ドンドン惹きこまれていく様子は興味深い。
僕らは客観視してるから、そりゃあ最新のAIで本人に最適なことしか言わないんだから、そうなるでしょ、なんて思ってしまうけど、主人公セオドアの立場になってみるとなかなか難しいことなのも間違いない。
ただ、メンタル的に惹かれていくのは分かるんだけど、肉体的にも惹かれて、バーチャルセックスをするにいたっちゃうあたりは、なかなか共感できなかった。

この映画自体の主題が、AIとの恋愛もあり得るという方向かと思いきや、冒頭のセリフの通り、そうではなくって安心した。
物語の中で、セオドアはなかなか元妻キャサリンとソリが合わず、一方OSのサマンサとはパーフェクトな関係性を築いていく。
AIとか二次元に恋をしたりのめり込んだりするのは全然理解できるけど、やっぱり人間に完璧に代わるものにはなり得ない。
この映画の主題のherって誰のことを指しているのか明確ではなかったけど、個人的には元妻のキャサリンではないかと思った。

1番印象に残っているシーンは、第三者の女性を介してバーチャルセックスを試みる場面。
色々と個性的な映画だったけど、このシーンでピークに達したと思う。
全然理解不能だし、発想が飛びすぎてる。
個人的には引いちゃったけど、興味深かった。

世界観とかよく出来ていると思うけど、どうしても感情移入できずのめり込めなかった映画。
こういう一風変わった難しい役どころもホアキン・フェニックスは難なく演じてしまう。
上質な映画だけど、ターゲットは狭い映画かな。

◆備忘ストーリー
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/Her/世界でひとつの彼女
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