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her/世界でひとつの彼女のRYのレビュー・感想・評価

her/世界でひとつの彼女(2013年製作の映画)
4.0
詩的な映画。セリフはもちろんのこと、映像もまたなにかを同時に語っていた。

世界はただ物質的に存在するだけではなくて、その世界を見る人の心境が反映されるものだと思う。充実感に満ち溢れていれば世界も色づいて見えるし、反対も然りだ。そんな誰もが共感できるであろうエモーショナルな世界の移ろいを、そのまま映画に落とし込むことに成功したのが本作だ。とにかく編集がうまくて、ただ人を写すのに終始せず、街並みやなんてことはない物のカットを織り交ぜて、セオドアとサマンサの心情が反映された"世界"をうまく表現している。

サマンサは身体を持たないから映像には決して映ることはないのだけど、カメラの写す光が、彼女の存在を感じさせてくれる。それは街の灯りだったり浜辺の太陽だったり。淡い光が逆光で差し込み、画面いっぱいに溢れたときの多幸感は素晴らしい。

未練のある男が主人公という時点で正直自分には刺さりまくる。

詩的で抽象的な分、一回観ただけだとうまく整理できず言語化できない部分があるが、とにかくエモくて、素晴らしい。
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