ユーヤ

her/世界でひとつの彼女のユーヤのレビュー・感想・評価

her/世界でひとつの彼女(2013年製作の映画)
4.7
広義の恋愛映画ではあるけども…
一般的な恋愛映画は『恋愛をしている人たち』を描いているけど、この映画は『恋愛という現象そのもの』を描いていると感じました。
他者を愛するとはどういう事か。恋愛をしているその瞬間瞬間、心はどう動いているのか。哲学的な問いを、心地好いブレイクスルーを伴った世界観で軽快に表現していました。

キャスティングに於ける人種的配慮には…正直、「さーせんねぇ…。気ぃ使って貰っちゃって…」という感想。それは僕がアジア人だからなんでしょうけど、メインからモブまでアジア系キャストがすごく多く見えました。まぁ、近未来を舞台にしているので、実際これくらいの人種バランスになるとは思いますが。勿論、他の人種や文化の描き方にも配慮は行き届きまくっていて、破綻のないSF設定にしっかり浸れました。

あと、これは僕の英語力の無さが原因なんですが…
中盤、セオドアとサマンサの声だけで画面は真っ暗、そのまま数十秒…そして夜明けの光景、そこにも二人の声。という素晴らしく美しいシーンがあるんですが、これはやっぱり字幕無しで味わいたいシーン。吹替の方が良いのかしら…。

物語として、エンターテインメント性溢れる展開、魅力的な主人公たち、美しい間接表現、それら『観易さ』要素はしっかりとしていながら、且つ、凄く先鋭的で視野の広いメッセージを持った作品。名作だと思います。
ユーヤ

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