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her/世界でひとつの彼女のutのレビュー・感想・評価

her/世界でひとつの彼女(2013年製作の映画)
3.5
近未来のロサンゼルスを舞台に、妻と離婚協議中で手紙の代筆業を営むセオドアが最新型の人工知能を搭載したOSが作り出した人格であるサマンサと出逢い、徐々に惹かれ合い恋愛関係を結んでいく様子を描くSF恋愛映画です。

ファンタジー色の強いSF恋愛映画ですが、プラトニック一辺倒ではなく、AIが故に肉体を持たないサマンサによる生々しい試行錯誤や、ネットワークで共有されるOSがもたらすセオドアの苦悩を織り交ぜるストーリー展開は、例えば筒井康隆のSF小説であればブラックユーモアとして描かれるような題材ですが、恋愛と性の形への許容性が高く先鋭的なアメリカらしく、赤色が際立つ彩りでソウルフルかつスウィートに演出します。

「アイラブユーの言葉じゃ足りないからとキスして」、あいみょんはそう歌い多くの人の共感を得ましたが、本作ではそれがふたりの越えられぬ障壁として立ちはだかります。それは『人はパンのみで生くるにあらず』と同様の哲学的な命題でもあるのです。