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her/世界でひとつの彼女のmakokoのネタバレレビュー・内容・結末

her/世界でひとつの彼女(2013年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

これはAIについて考えさせられる映画というわけではなくて、コミュニケーションについて考えさせられる映画だと思う。
コミュニケーションと言っても特に会話と、愛情について。

あんなに心から打ち解けあえて楽しい会話ができれば、正直肉体は要らないのではないか、と思えてしまうほど。
実際は触れ合いたいし体温を感じたいし、肉体はないと困ると思うんだけれども、それって直接愛情を保ったり増幅させたり、果たしてするんだろうか?
愛情がさっぱりなくてもとりあえずセックスはできるわけで、それで愛を感じてますか?というとNOなわけで、つまり愛情表現になる表情(愛おしそうに見つめるとか)があったり、言葉があったり、愛情を表す身体的表現(手を繋ぐとか、なでるとか)があったりするからこそセックスで愛情を感じるのでは、と、すると、やはりお互いを信頼する心や、わかり合えている、繋がっている、と感じる会話のコミュニケーションがここまで深まっていれば、わざわざ肉体はなくてもいいのかもしれない…
「愛がないとセックスできない」とまともな気持ちでいればいるほど、辛い話になってしまう。
だからこの完璧な繋がりを築いた同志の恋愛が、辛くて辛くて、切ない。
少し未来の話とか、手紙が勝手に書ける!メールスラスラ読んでくれる!すげー!とかはもう霞んでしまって、ここまで他者と繋がれることの素晴らしさに、奇跡に、感動。そんな人となかなか会えないよ。
そして、感動…なのにこの会話もプログラムされたAIなんだよね、というのが、なんとも皮肉。
Mine or not mine 、それが大事なんだ…というのが、またとっても人間的。
サマンサには、それはそんなに強くなかった…

そしてホアキンフェニックスが素晴らしい。なんて優しい細やかな表情。
ラブラブの時にCome spoon meと妻に言われて、嬉しそうにベッドに飛び込む顔がたまらなくcute‼︎
それが失われるのは辛いよね。
そして8316人と浮気されるのはちょっと破格か。

ともあれこれは愛と会話の真に迫った珠玉の逸品!何度でも観たい。メールを読んでくれて、校正してくれて、一緒にジョークを言って楽しめるAIがいる未来を想像しながら。
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