中田

her/世界でひとつの彼女の中田のレビュー・感想・評価

her/世界でひとつの彼女(2013年製作の映画)
4.0
人間は当たり前だが言葉という「道具」を使ってコミュニケーションをしている。「人間語」は、人間という種族に限定されているからこそ人間は「人間」と深く限定的に深く関わりあえる。その点で、OSのサマンサは人間に「合わせて」「人間語」を選んでくれていただけである。だから最終的に彼女らは人間との別れを選ぶことになった。言葉とは限定的なものだ。言葉以外の、仕草であったり、表情であったり生身で触れ合えることが肉体を持つものの特権なのではないか。
だからこそ、我々「人間」は言葉以外でコミュニケーションを図るべきではないか。ラストシーンのエミリーと言葉を交わさず肩を寄せ合う姿は象徴的である。SNSの発展により遠距離で意思の疎通を図れるようになった人類だが、この映画はそういうった側面に対するカウンター的な要素を孕んでいるように思える。
(かと言ってOSとして肉体を持たないサマンサらを差別しているわけでは決してない。なぜなら彼女らも結局同類と道を同じとする決心をつけたから。その点で彼女らの決心は我々人類より潔く思える。要は距離の近い存在を大事にするべきという話である。)
中田

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