半兵衛

Mr.ジレンマン 色情狂いの半兵衛のレビュー・感想・評価

Mr.ジレンマン 色情狂い(1979年製作の映画)
3.4
当初担当する予定だった脚本家が書けずトンズラし、急遽荒井晴彦が代理として書くことになりわずか3日で仕上げたといういわく付きのロマンポルノ。そのせいか当初映画の中心にいた主人公が憧れていたヒロインの日向明子の処女を守るエピソードが彼女が処女を失ったことで雲散霧消し彼女も途中から存在を消したり、関係ない話が挿入されたりと展開が所々で破綻していたりする。

それでもメインキャストをつとめる東京乾電池のメンバーの怪演とくだらないギャグの数々に笑わされるし、映画自体主人公が変身する性義のヒーローの活躍を勢い重視で描いているのでさして細かいことなど気にならない。なにより家族にバカにされていた主人公のダメ親父が彼らの危機をきっかけに真の家族愛に目覚めるエンディングはなぜか感動する、そして「何の力も持たない普通の主人公がヒーローに覚醒していく」というドラマは「キック・アス」などより先取りしているのも凄い。

あと高田純次のアクの強い演技も見所で、現在も活躍する彼の芸風はこのときから完成していたのだなと感心する。

それからこういうスラップスティックな作品でもそれなりに仕上げ、独自の映像美もきちんといれる小沼勝の演出の手腕も見事。
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