MasaichiYaguchi

インターステラーのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

インターステラー(2014年製作の映画)
4.2
タイトルの「インターステラー」は、恒星間の距離や時間を意味する。
広大無辺な宇宙を舞台に展開されるクリストファー・ノーラン監督の本作は単なるSF作品で括れず、社会の最小単位である家族のドラマでもある。
世界的な食料危機に見舞われ、人類滅亡に瀕した近未来の地球から新天地を求めて宇宙に旅立った「開拓者たち」の人間ドラマが、愛、葛藤、裏切り、命を脅かす危機を交えてスリリングに、そしてエモーショナルに描かれていく。
この手の映画だとCGてんこ盛りのデジタル合成で製作されるのが大半だが、クリストファー・ノーラン監督はリアルさに拘って実際に「もの」を作って撮影している。
更に作品にリアルさを出す為に、天体物理学者キップ・ソーンの宇宙理論を基に恒星間航行法、ブラックホール等が描かれている。
本作ではこの理論以外に、アインシュタインで有名な相対性理論が何度か登場するが、決して理屈っぽい作品ではなくファンタジーもあり、特に終盤ではその色合いが濃くなっていく。
この映画の評価が賛否両論に分かれるのは、この終盤の「転調」による違和感から来ているような気がする。
ただ前半部分から随所に挿入されたファンタジックな伏線を、ノーラン監督は一気に繋げたかったんだと思う。
壮大な宇宙を舞台に、アメリカの「フロンティア・スピリット」と社会の最小単位である家族の愛を中心に、ノーラン監督らしい詩的世界観で描かれたサーガ的作品のような気がする。