Tako

インターステラーのTakoのレビュー・感想・評価

インターステラー(2014年製作の映画)
4.5
現代を代表する映画監督であろうクリストファー・ノーランが贈る傑作SF映画。
宇宙について、地球について、時間について、家族についてを高次元でまとめられた超一級品の映画です。
2020年9月現在、IMAXにて放映中なので見ていない人お見逃しなく! この映画は絶対に映画館で見た方が面白い!

大規模な砂嵐が断続的に発生し、つぎつぎと作物が絶滅していく(おそらくはそう遠くない)未来の地球が舞台です。
なんら説明らしい説明がなく、シーンやVTRを見せるだけで背景設定を描く手法は安定感があり、見せ方のうまさもあって説得力を失うことなく世界観を理解することができます。
主人公を含む家族をとりまく環境や軋轢、不安などが随所に散りばめられた序盤からスムーズな本章入りをするストーリーテリングは見事!

ストーリーが進行するたびにキャラクターがどんどん増えていきますが、セリフ力や芝居力がしっかりしているため、違和感のあるキャラが一人もいません。宇宙航行をサポートするロボットが何体か登場しますが、どれもキャラが立っており、軽妙な掛け合い軽口を挟むことで、重いストーリーや設定の難解さからちょっと一息つけるような憎い役割をもたせるなど、映画作りに隙がありません。

調査、発見、解決のプロセスがしっかりと組み込まれているため、シーンの進行感が強く感じられ、2時間40分(!)という長尺にも関わらずダレルことがほとんどありません。
問題を解決しても次の問題が発生、また発生!
とにかく安易な決着を許さない姿勢には感服しっぱなしでした。
インターステラー、すなわち星間航行を繰り返していくストーリーですが、時間制限あり、空間的過酷さありととにかくキャラクターを追い詰めていきます。
これ本当に解決できるのか? と疑ってしまうほどの追い詰めっぷりは他の映画も見習ってもらいたい容赦のなさです。
それゆえに、家族愛や五次元空間を駆使した最後のカタルシスは尋常ではなく、超危険な宇宙空間のヒリヒリ感からの解放も相まってここ数年で味わったことのない威力がありました。

『インセプション』でも遺憾なく発揮されたビジュアルへの偏執的なまでのこだわりも本作で爆発しており、この迫力は絶対に映画館で体験すべき代物です。IMAXでぜひ!
トウモロコシ畑や氷河惑星はもちろん、第五次元さえも(!?)実際に作り出してしまったノーラン監督の変態っぷりが、本作のリアリティを支えていますのでずっぷりと堪能するのが吉です。

難点を一つあげるとすると、これはノーラン監督作品全般に言えることではありますが、対象年齢がやや狭い点でしょう。
SF的な世界観や用語、フィーリングが理解できないと物語をしっかりと楽しめません。基礎教養として要求してくるSFリテラシーがなかなか高めなので、ゲームや漫画などあるいは勉強したことのある人でないと取っ掛かりさえないのがやや厳しいポイントです。(固有名詞への説明がほとんどないのもそれに拍車をかけています)
『インセプション』『ダークナイト』などの名作もそれなりのリテラシーを求められるため幅広い世代が楽しめる作品とは言い難いのが惜しいところ。

とはいえ根底に流れているのは家族愛、探検心をテーマとしているため、深く考えずにキャラクターの決意や葛藤などに共感してストーリーを追いかけるだけでも十分世界に浸ることが出来ます。
少しでも気になっている方は、ぜひ映画館へ!
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