えいがうるふ

インターステラーのえいがうるふのレビュー・感想・評価

インターステラー(2014年製作の映画)
4.7
長いので早々退屈したらどうしようと思ったが展開早いのでどんどん引き込まれて170分があっという間だった。(というか、話のスケール的にこれぐらい端折らないと3時間でも到底間に合わないということに、さすがに頭の悪い私でも早々に気がついた)
逆に話のスケールが極端に大きいおかげで、ノーラン作品にしてはストーリー展開の輪郭がはっきりしていて分かりやすく、自分のように知識が追いつかない者でも感覚的に理解できる作品に仕上がっている気がした。

どこまでも壮大な映像を展開しつつも、ところどころ「2001年〜」へのオマージュを感じさせる演出も楽しく、学者レベルの識者から巷のアホの子までその人なりに宇宙への畏怖とリスペクトを存分に味わえる内容ではないかと思う。
なにより、人智を超えた宇宙の摂理を解き明かしその先の未来へと繋ぐ鍵は、ほかでもない人間が発明しその存在をたらしめてきた「愛」だったという、大いなる人間讃歌ともいえる帰結はあまりに見事で圧倒された。

ところで、作品の主題とは全く関係ないが、惑星間移住を検討せざるを得ないほどの深刻な食糧不足・・・と言う割に、広大な畑はなんだかんだ稼働しているし、まして主人公が地球を発って二十年以上経ってもまだ、地球に残された家族の食事風景が自分達の先祖が味わった戦時中の食糧危機の状況に比べたらよほど豊かな食事をしているように見えてしまい、地球存亡の危機というほどの切迫感が感じられないことに、日米の食生活に対する根本的な価値観の違いを思い知らされた。
肉類が食べられない=壮絶な食糧逼迫、ということなのだろうか。穀物すら満足に食べられず芋や野草で飢えを凌ぐような状況など、彼らには想像も及ばないのだろうかと、余計なことを考えてしまった。そういえばマット・デイモンは翌年別の星に置き去りにされた時はじゃがいもを栽培して飢えをしのいでいたが、あの状況も欧米人にとっては「芋しか食えないという想像を絶する地獄」としてさらに強烈な悲壮感を伝えていたのかも。