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君と見たい恐い話のmenokiのレビュー・感想・評価

君と見たい恐い話(1992年製作の映画)
2.8
大人版「世にも奇妙な物語」のような話を3話構成のオムニバス形式で描いた作品。

1.パンドラ

監督:鈴木浩介

「絶対に電話しないで下さい」
電話ボックスに貼られた1枚のビラ貼りに、ある男が魅せられた時、彼の運命は破滅へと急展開していく。


禁止されるほどやってみたくなる心理(カリギュラ効果)を題材としたサスペンスホラー。
個人的に非常に興味のある題材であり、序盤は「~しないで下さい」と主人公が禁止されている行動をするのを見て、一体どんな目に合うのだろうと映像に釘付けになっていた。
しかし、如何せん物語上でカリギュラ効果を全然活かしておらず、同じような展開が続くだけなので中盤辺りから興味を削がれた。

普通、物語上でカリギュラ効果を活用するのなら、主人公が禁止されている行動をする事がきっかけで、様々な不幸が主人公に降りかかる様に描く。
しかし、この話の場合は「~しないで下さい」という禁止されている行動をしても、違う「~しないで下さい」というメッセージが提示されるだけで、それに依り主人公に不幸が降りかかる訳でもない。
しかも、方法は違うものの、

「~しないで下さい」というメッセージが提示される→主人公が禁止されている行動をする→「~しないで下さい」というメッセージが提示される

というパターンを大体7回ほど繰り返すので、始めの内は興味深い物語も途中で飽きてくる。
やるんだったら、せめて3回くらいに留めておくべきではないだろうか・・・。
それに、普通の人だったら2~3回は禁止されている行動をやるかもしれないが、以降はバカバカしくなってやらなくなると思うのだが・・・。

まあ最終的には主人公が不幸な目に合うのだが、最後の「○○から出てはいけない」以外は特に意味を持たないので、鑑賞後は何とも言えない虚無感が生まれてくる。
いっその事、最後の「○○から出てはいけない」をメインにして物語を構成していけば良かったのではないだろうか・・・。

あとの2話も含め、本作はエロチックサスペンスをテーマにしているらしいが、確かにエロいシーンはあるものの、この話に限ってはエロに必要性を感じなかったし、無理矢理エロをねじ込んだようにしか思えなかった。


2.ノミネート

監督:堤幸彦

突然送られてきた血まみれの心臓。
同封された手紙は不幸の手紙だった。
「あなたは不必要な人間としてノミネートされました。一週間以内に誰かを殺すか、あなたが殺されるか2つに1つを選択して下さい。」
平穏な日常に舞い込んだ不安と懸念の結末は・・・。


個人的に最近の堤幸彦監督作品は嫌いな作品が多いが、昔の堤幸彦監督作品(「金田一少年の事件簿」~「TRICK2」辺りまで)はかなり好きな作品が多いので期待して鑑賞した。
結果は期待していた以上に完成度が高く、3つの話の中で一番映画の世界にのめり込めた話であった。

主演の渡辺正行はなかなかのクズ野郎を違和感なく自然に演じられているし、ナレーションの立木文彦の狂気に満ちた声はおどおどしく物語の質を高めている。
演出面では、この話にピッタリな「ケイゾク」のような独特の殺伐とした世界観に近いものを感じさせるし、ライティングも上手く主人公の狂気を上手く表現している。
本作のテーマであるエロチックサスペンスも上手く機能させており、前の話とは別物で物語上必要性のあるエロとなっている。
ラストの展開は秀逸であり、本作を観た大半の人が衝撃を受けるだろうし、演出の重要性を再認識させられるのではないだろうか・・・。

とはいえ、そのシーンまでにいくまでの話のテンポが少々悪く、所々無意味と思えるシーンが見受けられた。
この話は大体30分くらいなのだが、恐らく時間の制約を設けずに15~20分程で話をまとめたら、かなり完成度の高い話になっていたと思う。


3.ギクッ!

監督:今井啓毅生

一触即発で麻痺する腰に爆弾を抱えた男。
だが世間は彼の腰を放っては置かなかった。
スシ詰めのラッシュアワー、付き合いのゴルフ、そして愛人とのセックス。
現代を生き抜くために否応なく迫りくる腰への負担。
そして彼が待っていた運命とは・・・。


前の2話は、上手い下手はあれどエロチックサスペンスをテーマにしていたが、何故かこの話に限りサスペンス要素がコメディーに変わり、エロチックコメディーをテーマにしている。

とはいえ、全体的に見るとなかなか面白く、エロいシーンは少ないものの上手く活かしシュールなギャグにしている。

役者の演技も全体的に素晴らしいのだが、その中でも特に長塚京三が素晴らしく、外面は真面目だが中身はヘタレなエロ野郎といったキャラクターを視聴者に違和感を感じさせないよう自然に演じている。

最終的にはヘタレエロ野郎が浮気をした代償としてかなり悲惨な末路を辿るのだが、とある有名な都市伝説を上手くアレンジしており、観ていてスカッとなる内容となっている。
全体的には面白い内容であったが、不倫した男は悲惨な目に合うのに対し、不倫した女性は特に大した罰も受けないのは個人的にかなり不満に思えた。

何となく1話15分で放送していた時の「世にも奇妙な物語」のコメディー回に近いので、この頃の「世にも奇妙な物語」のコメディー回が好きな人はかなり楽しめるかもしれないが、浮気や不倫を題材にした物語が嫌いな人には恐らく不快にしか思わないだろう。


3つの話に言える事だが、どれも1話15分で放送していた時の「世にも奇妙な物語」に演出や脚本が近くそれにエロを付け足したような話になっている。
とはいえ、そこまでエロい訳ではなく、エロ要素が含む作品を観る際に妻が必ず行う「勃起チェック」でも検知されないレベルなので、エロ目的で本作を鑑賞するのなら違う作品を観た方がいいと思う。