LalaーMukuーMerry

物語る私たちのLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

物語る私たち(2012年製作の映画)
4.0
私は4人の姉兄たちと年の離れた末娘でした。父も母も映画・演劇の役者でした。母は私が11歳の時ガンでなくなり、私は父と2人で暮らして育ちました。

たまに兄弟が集まる日曜の夕食の席で、兄が冗談気味に、私だけ父親に似てない、と言いました。

これがこのお話の出発点。私は、生前の母の足跡をたどるうち、生物学上の父を思いがけず見つけました。そして、もう一人の父親と文通を始めました。

長い間悩んだ末、そのことを父に話しました。父は実の娘と信じていた娘から聞いた話に呆然としていました。

けれども、そこから父は自分と母との思い出を振り返った長い作文を一気に書き上げて私に送ってきたのです。これがこの作品が出来上がるきっかけです。もう一人の父親も映画製作の関係者だったこともあります。

母の人生、父の人生、もう一人の父親の人生、姉兄たちと私の人生を振り返り、それぞれの人たちの思いを語るドキュメンタリー作品ができました。誰かの思いに焦点をあてることはしませんでした。だから、インパクトは弱いかもしれません、でもそれでよいのだと思います。

*****

芸能人一家の一歩間違えばスキャンダルになる前の防衛的な作品?と勘ぐる見方や、ゴシップ好きを満足させる作品と捉える見方をすると、この作品の良さはわからないかもしれません。

自分の気持ちを大切にしながら、相手を思いやりその気持ち理解しようとする、穏やかな心の姿勢が良いと思います。