Clara

インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌のClaraのレビュー・感想・評価

2.0
1960年代、NYのフォークソングの中心人物であり、ボブ・ディランが憧れたデイヴ・ヴァン・ロンクの回想録と史実を基に、うだつの上がらないフォークシンガーの冴えない一週間をコーエン兄弟が描く。

友人宅を転々として居候生活をしながらコーヒーハウスで歌う日々。コーヒーハウスで他のシンガーにヤジを飛ばしたり、居候して人の世話になるくせに悪態をつき、シンガー仲間を妊娠させたり…冴えない日々の原因は、日々の行いにあるんじゃないかと思ってしまう。しかし彼にそうさせるのは、仲間を失った苦しみと歌い続けることへの迷いだろう。決して才能がないわけではない。でも、心から売れることを望んでいない。それが行動に現れている。生きるために歌いたくない、だけど生きるために他の仕事に就きたくもない…そんな心中なのだろう。歌うことの誇り、歌手であることの誇り。信念を曲げずにそれを守り続けることが、自分を保つ方法でもあるのだろう。私も社会不適合タイプだから(笑)、割り切れない感じはわからなくもない。一本突き抜けてしまえば、「ダメ人間」ではなく「すごいやつ」になれると思うんだけどね。

ここ数年でフォークのメロディーが好きになり、よくBGMで流すようになったので、いろんな曲を聞けたのは嬉しい。オスカー・アイザックの歌声もフォークにぴったりで素敵だった。
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