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子宮に沈めるのクリームのレビュー・感想・評価

子宮に沈める(2013年製作の映画)
4.0
商業主義的な映画では無く、オレンジリボン運動(子供への虐待を防止する運動)が推薦する映画です。確かに子供がとても可哀想ですが、それだけの話ではありません。キチンと意図を捉えるべき映画だと思います。
2010年に発生した大阪市のマンションで2児が母親の育児放棄により餓死した事件が元になっています。ただ、実際はもっと悲惨な状況だったと思われますが、3歳の子供が演じる事や沢山の人に観て考えて欲しいと言う願いから、少しソフトになっているそうです。それでも相当キツかったです。観終わって、やはり母親が悪いけど、社会的弱者が誰にも頼る事の出来ない実体やシングルマザーの受け皿が風俗になっている事と深く関係していると思いました。最初は、普通のお母さんだったのに不運が続いてしまった。勿論、子供への虐待や育児放棄はあってはならないのは、前提ですけど、どうにもならない時の救いがほぼ無い事も社会の大きな問題だと思います。相当悲しく観るのが辛い映画ですが色々、考えさせられる良い映画だったと思います。個人的にラストは、好きになれませんが…。かぎ針の下りです。




ネタバレ↓




実際の加害者の犯行の動機は、ホストクラブにはまり、育児が面倒になった。「子共なんていなければいいと思うようになってしまった」らしいです。さらに彼女は「食べ物を与えないと死んでしまうことは分かっていた」とも供述していて、死体遺棄の罪で、懲役30年の判決が下りました。
映画は、育児放棄に至るまでの母親の心理を描いたヒューマンドラマ。 家庭と母親が段々崩れていく様子、育児放棄された子どもたちがどのように過ごしているかがリアルに描かれていました。
母を待つ幸と弟の映像は、とてもリアルでした。演じていたのは、実際の姉弟で、幸ちゃん役の子は、今も元気で活躍中らしいです(ロボコンのロビンちゃんの役等)。良かったです。あんなお芝居こっちが観てて心配になるレベルでした。
由希子が帰って来てからの方が私は、キツかったです。頑張って待ってた幸に言葉もかけず、抱きしめてもあげない。蒼空に沸いたウジを無言で取り蒼空の遺体にガムテープを巻きつける。それを洗濯機で洗濯する。由希子は浴槽に水を張って、幸の服を脱がせ、「ママと一緒がいい。」と言い残す幸を浴槽に沈めて殺害。室内を片付け、幸と蒼空の遺体を椅子に座らせ、自身も座わり椅子の上で編み物に使っていた針を己の陰部に深く突き刺した。ラストは、ちょっと意味が解らなかった。おかしくなっている事の表現なのか?
最初は、可愛いがっていたので、母性はあったと思います。元々母性が無いならまだしも由希子の場合は、あった。勉強して資格を取ろうとしたりしていたのに現実は、水商売しかなかった。子供達とのコミュニケーションが減り、子供を見なくなり、物に思えてしまう様になった。助ける方法はなかったのか?現状では、難しいんでしょうね。日本の闇を観た気がします。
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