チッコーネ

殺人漫画のチッコーネのレビュー・感想・評価

殺人漫画(2013年製作の映画)
3.2
あまり期待せず観始めたのだが、意外と面白かった。
ホラー要素を抜くと、登場人物全員に後ろ暗さが残るサスペンス。
漫画に翻弄される彼らに合わせ、画面上にも幾度となくイラストが登場してくるが、『萌え』や和製アニメ要素のないクールな劇画タッチで良い。
その色彩を考慮し、実写背景の照明を調整した場面も多かった。
やり方によってはあざとさの目立つ作風になりかねないが、座り良く斬新な印象が勝る。

惜しむらくは脚本で、ミニマルな人間関係にまとめ過ぎたきらいあり。
そもそも仕事上、関係性に気遣うべき人物が登場する漫画を描いていて、おかしいと思わないのに無理がある。

テレビドラマを主戦場にする役者中心のキャスティングだが、犠牲となるサブキャラ陣の演技と、『殺られ顔』とでも呼びたい面構えには味があった。