ここまで来ると正直しんどいが、それでもやはり美しいとは思う。
冒頭でキリスト教の信仰を描いておきながら、実際はむしろ、キリスト教とは真逆ともいえる、古代ギリシャ哲学で議論されたような、もっと根源的なところを描いていて、それを「水」や「火」、「灰」のモチーフでそのものズバリ映すっていうのは、なかなか面白い(ベートーヴェンも流れるし)。
それでいて、もっとシンプルな、タイトル通りのノスタルジアも素直に描かれている。結局、タルコフスキー自身の噺だったのだ。
ただ、その「静謐」で「神聖な」映像を観ていると、美しいと思う反面、あざとさも感じる。タルコフスキーって、実はかなり俗物だったのでは?
とはいえ、ハッキリしない場面展開とか、なかなか独特。モンタージュを意識的に使うエイゼンシュテインとは全く違い、まるでカットを意識させないタルコフスキー。ロシアってすごい。