あや

ノスタルジアのあやのレビュー・感想・評価

ノスタルジア(1983年製作の映画)
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とても難解。難解だけど故郷に帰りたいアンドレイの郷愁や迫りくる死を感じてどっと寂しさがくる。


そして圧倒されるほどの映像美。
霧から始まるシークエンスから水、風、炎、煙などの自然描写を余すところなく美しく拾い、風景や物も繊細に撮っている。
燃えてゆく詩集、風に揺れている蝋燭の火、空から落ちてくる羽、水の教会…
まさに夢でみるような光景で、この映画で"美しい"と思ったシーンはこれからの人生でもきっとたまに思い出すことがあるんだろうな。それくらい叙情に溢れた作品。


アンドレイはある狂人に「温泉に入り、蝋燭の火を絶やさずに横断したら世界が救える」と言われる。こんな何でもない行為が崇高に見えて、火を消さないようにゆっくり歩くラストのシーンはとても印象深い。
あや

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