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ノスタルジアのsnatchのレビュー・感想・評価

ノスタルジア(1983年製作の映画)
5.0
美しい、どの場面をとっても寂しい色が漂っているのに情感が充ちていて美しい。もう二度と再現できない自然と光と影のタルコフスキーの映画芸術
大切なのが幸福である事とは言えない、というような内容の教会でのセリフがとても印象に残りました。国境というものを痛感した者の言葉だと思いました
主人公に重なるタルコフスキーの故国への郷愁、戻ってもどうなるのかわからない運命、表現の自由を獲得はしたけれども悲しいかな言葉の違う異国に自分の居場所はない。脳裏にはソ連で過ごした子供時代の母への思いでいっぱい。芸術表現の厳しい検閲のある国で、芸術家として生きてきたこれまでの苦悩と、今もこの先も見据えられない不安と孤独の魂が、ゆらりゆらりと映画の中で繊細に揺れています。この作品の後に亡命宣言をしたそうです。シンプルな水と土と炎による雄弁な映像言語は、タルコフスキーが歩んできた芸術家として国家に翻弄されてきた苦しみの積み重ねから生まれ創造されてきたものなのだと思いました
主人公がドミニクとの何の意義もないあの約束を果たすことに自分の存在を見い出そうと懸命に挑むシーンは切ない
映画史に残るラストシーンは息を止めて見つめるほどの余韻が広がっていく。暗闇の中、眠っている時に犬が現れるシーンと、水で埋まった建物で少女と言葉を交わすシーンとローマの広場の衝撃のドミニクも特に好きです!各シーンの撮影場所に行って見たい‼︎
学生の頃に挑戦して観ているのですが、中盤丸ごとすっかり眠ってしまい😓 観たとは言えず、リベンジと思って早稲田松竹さんに足を運びました!難解なのは変わらず、うわべだけしか見れていないかもしれないけれど、久しぶりにまた観られてよかった
夏には「ミツバチのささやき」も上映してくれたし貴重な貴重な映画館😍感謝感謝🙏
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