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ノスタルジアのmochiのレビュー・感想・評価

ノスタルジア(1983年製作の映画)
3.8
難しい……頭脳が追いつかない。結局人間はノスタルジーを抱えて生きるしかない。ノスタルジーは個人的感覚だから真の聖人には必要ないものなのかもしれない。しかしながら逆に、ノスタルジーこそが人を宗教に向かわせることもある。あるいはノスタルジーが人間の個人的感覚を強めてしまうこともある。この三様が、それぞれドメニコ、ゴルチャコフ、エウジェニアなのだと思う。そして結局エウジェニアも信仰に向かうのだろう。
最後の蝋燭のシーンはまさに信仰の比喩だと思う。自分の個人的感覚が人を宗教に向かわせても、祈りそれ自体はそれ自体を目的としていなければならない。それは火のついた蝋燭の火を消さずに、温泉を渡るのと同じなのだと思う。もしもドメニクが自害する前にゴルチャコフがこれを実施していたら、人々は目覚めていたのかもしれない。
タルコフスキーは基本的にあまり顔を映さず、絵画的な絵を好むけど、だからこそたまに映る顔の映像は印象深い。
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