ぶみ

グランド・ブダペスト・ホテルのぶみのレビュー・感想・評価

3.5
ウェス・アンダーソン監督、脚本、レイフ・ファインズ主演によるイギリス、ドイツ製作のドラマ。
仮想の国、ズブロフカ共和国にある「グランド・ブダペスト・ホテル」のカリスマ的コンシェルジュとベルボーイ等の姿を描く。
主人公となるコンシェルジュをファインズ、ベルボーイをトニー・レヴォロリが演じており二人を中心に物語が展開するも、その他にもF・マーレイ・エイブラハム、マチュー・アマルリック、エイドリアン・ブロディ、ウィレム・デフォー、ジェフ・ゴールドブラム、ハーヴェイ・カイテル、ジュード・ロウ、ビル・マーレイ、エドワード・ノートン、シアーシャ・ローナン、オーウェン・ウィルソン等々、端役も含め数多くの豪華俳優陣が名を連ねているため、それを見ているだけでもワクワクさせてくれるもの。
物語は複数の時代を小説で回想するという複雑な構成となってはいるが、それぞれの時代でアスペクト比や映像のトーンが違ったり、当時の時代背景や出来事が盛り込まれているとともに、コミカルな演出や箱庭を見ているかのような独特な表現により、非常に見やすく仕上がっている。
そこに殺人事件によるミステリ要素と、時折サラリとグロいシーンが挿入されることによる緩急がつけられているため、面白くない筈がない。
また、主要な登場人物の多くが男性であるため、紅一点と言っても過言ではないローナンの存在感が際立っているのもポイント。
芸術的世界観、映像表現、サイレント映画のような演出等々、独特の拘りが随所に散りばめられ、御伽噺を読んでいるような気分になる一作。

欲は広がるのだ、毒が血を巡るように。
ぶみ

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