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グランド・ブダペスト・ホテルのmatchypotterのレビュー・感想・評価

4.1
面白い。サーチライト、さすが。
ウェスアンダーソン、さすが。色鮮やかで可愛い。

これも前から色んな人の口から出てくる作品で観たかったやつ。

とてもコミカルでリズミカル。
全体的には終始ライトでスピーディでテンポが良いなんだけど、重めの国の情勢、背景と濃い顔ぶれが揃ってて、とても作り込まれてる。

次から次へと話が移り変わり、絶えず畳み掛けてくる展開から目が離せない。

“グランドブダペストホテル”、このホテルのオーナーがかつての新米ロビーボーイだった頃、先代のオーナーに気に入られて師弟関係になる。

その頃、お得意様の女性が不慮の死を遂げ、その女性の遺産の肝である貴重な絵画、これが遺言に従い、まさかの先代オーナーに譲り渡される、、、はずが。

そんなとんとん拍子に行くわけもなく、そんな遺言を面白く思わない女性の親族たち。この親族がなかなか物騒な輩。

只事では済まなそうだと判断し、先代オーナーとロビーボーイは、その絵画を盗み出すことに、、、これが、大きな騒ぎに発展する。

レイフファインズ、ジェフゴールドブラム、エイドリアンブロディ、ジュードロウ、エドワードノートン、ビルマーレイ、ウィレムデフォー、オーウェンウィルソン、レアセデゥ。

スゴい、スゴいよ、この顔ぶれ。
レイフファインズが先代オーナーだから役所としては出番は多いが、他の面々もコンパクトに存在感を色濃く残す。

逆にこの切れ味良くサクサク進むジェットコースターコメディサスペンスだからこそ、一瞬でも記憶に残せる顔ぶれ、とも言える。

それを泳ぎ回る当代オーナーになるかつてのロビーボーイ。
この豪華な面々に囲まれ、ストーリテラーも兼ねて実質的な主役。彼がまた良い。
こんなヘビーなメンツを抱えてるのに恐ろしくスピードが出てるジェットコースターを乗りこなすロビーボーイ。

飄々としながら、天然混じりで正論ぶちかましたり、あれやこれやと次から次に起きる難局を先代オーナーと共に、時に先代オーナーを乗せながら乗り切る。

ソリの件は唐突過ぎて笑う。
でも割と何でも唐突に起こるからいつの間にかこれに至る頃にはまったく自然に受け入れられる。

そもそもウィレムデフォーの絵に描いたようなエッジの効いた悪い奴感もこの作品の中では逆にコミカルさを引き立ててるかのようなサスペンスの権化。

ホテルの慌ただしい日常が、1人の女性の死によって先代オーナーとロビーボーイを中心に全く別の慌ただしいサスペンスに。

想像してた以上に面白かった。

F:1831
M:113143
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