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グランド・ブダペスト・ホテルのtamagoのレビュー・感想・評価

4.5
始まってすぐに、クレイアニメのような独特の景色の描き方に引き込まれていきました。
ミステリーとのことだったので、敢えてほとんどストーリーの予備知識なしで観たので、最初は一体何の話なんやろ??ミステリーなん?と少々不安になりつつも、出てくるキャラ全員に興味津々となり、映画の世界にどっぷり引き込まれていきました。すごい演出力!

あとは、グスタヴの怪しさと高貴さを清濁あわせ持った独特のキャラクターとゼロの飄々とした性格が醸し出す笑いに癒されながらも、ドキドキしっ放し。
どちらかというとゆるい雰囲気と思わせながら、ちょいちょい過激な場面もあり、飽きさせません。
雪山でのチェイスシーンなど、カメラワークも良く、かといって、お茶目な絵面もしっかり忘れずにというところもナイス!

脇役もめちゃくちゃ豪華過ぎるでしょ。
特にウィレム・デフォーは、やはり気色悪い役をやらせたら天下一品ですねえ〜(笑)
ハーヴェイ・カイテル久しぶりに観れて嬉しい驚き!レア・セドゥとか他にも書き出したらキリがないくらい贅沢な脇役陣で、満腹感も味わえると思います。

大事な人を守り抜けるかどうかのところで、かなりハラハラさせられ、後からそうきたか!と唸るような緻密な展開で、素晴らしい脚本・演出だったと思います。(ドラマのプリズンブレイク の演出を彷彿とさせるトリッキーさがあるような?)
ヒロインが、シアーシャ・ローナンであることで、更にドキドキ感が増したのかも。

エンドロールの音楽も良くて、映像もお茶目でめちゃくちゃ可愛いので、最後まで観ないと損しますね(笑)
音楽もいいなぁと思ったら、アレクサンドル・デスプラという方で、シェイプ・オブ・ウォーターとか、真珠の耳飾りの少女とか、いいなと思った映画で他にも良い作品をたくさん手掛けておられるみたいで、音楽つながりでも良い映画が見つけられそうです。

見終わった後は予想外の静かな感動に包まれ、基本コメディー映画なのにすごく得した気分です。
いかにも感動させますみたいなお話よりも、コメディーの方が実は風刺も効いていて奥が深かったり、心の奥で感じるものがあるのかもしれないなと思ったり。
最近観たパラサイトも、テイストは全く異なりますが、根底には通じるものがあるような気もします。

ウェス・アンダーソン監督作は初めてでしたが、他の作品も観てみたいと思わせる、良作でした。
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