みつば

ランズエンド -闇の孤島-のみつばのレビュー・感想・評価

ランズエンド -闇の孤島-(2012年製作の映画)
2.8
イギリス、ランカシャー。ジョーとクリシーの兄弟は、引退した父と同じく正義を貫く刑事。
少女惨殺事件が起こり、猥褻行為で前科のある容疑者が浮かぶが、証拠不十分で釈放されてしまう。納得のいかないジョーは、父と同じやり方で、島へ連れて行き自白を強要するが、殺してしまった。後日、真犯人が見つかったことからジョーの苦悩が始まる。

BBCのドラマを映画化したもののようですが、少し薄い印象です。触れ込みは興味深いのでもう少し丁寧に造り込んだら、きっと上質なサスペンス、重厚な人間ドラマへ進化出来たのではないでしょうか。
ジョーが容疑者を殺してしまうまでの過程に、もっともどかしさが濃く描かれていたら納得したのですが、私にはジョーが「島に容疑者連れてきて殴ったら吐くって親父が言ってたのに、なんで吐かないんだよ!」という駄々っ子のように映りました(笑)
証拠集めなど、じっくり事件を調べた感じがないし、釈放されるのも当然です。材料もないのにそれは無理でしょう。
ジョーが容疑者を殺した後の話の方をじっくり描きたかったのかもしれませんが、正義の追求としては弱い。

少女の体にあった"4 REAL"というタトゥーの活用も中途半端で、意味が後に明かされるのかと思いきやその事には全く触れてくれません。
また原題のBloodは血縁の事だと思いますが、作中「人は愛のために苦しむ」というセリフがあるのに、ジョーの行動は"犯行がバレることによって起こりうる家族への影響"を心配しているからというより、"自分の正義の形が崩れるのを防ぐため"としか見えないのです。
ジョーよりも彼の家族が、彼への愛のために苦しんでいるのです。
さらに冒頭で出てくる、ジョーの父親からの比喩的な言葉。ラストにはジョーがその呪縛から逃れたというより、おとぎ話は作り物だったと知った子供のようで突っ込みたくなります。

文句ばかり書きましたが、寒そうな空気は作品の雰囲気と抜群に合っています。
ジョー役ポール・ベタニーの、過ちを犯す前と後の表情の変化は別人のようだし、ロバート役マーク・ストロングの全てを見逃さないような視線は見事なので、彼らの演技は見る価値ありでした。