BOB

クラッシュのBOBのレビュー・感想・評価

クラッシュ(1996年製作の映画)
3.4
自動車事故に性的興奮を覚える人々を描いた、クローネンバーグ監督の代表作の1つ。

「君も徐々にわかるようになるよ。愛に満ちた精神病理学のあることが。自動車事故は破壊的でなく生産的できごとだ。性的エネルギーの解放なのだ。事故で強烈な死に方をした人間の性的エネルギーを感じ、自分自身もそれを経験すること。」

倦怠期夫婦が、カークラッシュで得られる性的興奮・性的快楽により、愛を取り戻していくという偏愛ドラマ。

クローネンバーグ監督は、これまで肉体や金属など様々なフェチズムを扱ってきたが、本作が最も強烈な作品かと。自分には理解し難い領域まで行ってしまったが、未知なる世界への好奇心は刺激されたし、クローネンバーグ監督らしい映像美は健在なので、最後まで観ていられた。ここまで突き抜けていると、嫌悪感すら湧いてこない。

自動車事故に性的興奮を得るというのは、血・肉フェチ、金属フェチ、機械フェチ、破壊フェチ、スピード狂の合わせ技みたいなものなのだろうか。"死の瞬間に凄まじい生のパワーを感じる"という点は理解できる。

"カークラッシュマニアの会"主催、ジェームズ・ディーン事故死再現ショー。洗車機。

「現実を超えようとするのは、人間の基本的欲望であり、創造的欲求のひとつである」by デヴィッド・クローネンバーグ

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