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UPRISING アップライジングのeのレビュー・感想・評価

UPRISING アップライジング(2001年製作の映画)
3.9
1943年のワルシャワ・ゲットー蜂起を描いたアメリカのテレビ映画。あまり日本人には馴染みがないですが、ワルシャワ蜂起ではなくゲットー蜂起の方です。

史実を基にされており、主要な登場人物はみな実在の人物となっている。前半はゲットーでの日常。徐々に抵抗組織が形成され、そのうちにトレブリンカへの移送も始まる。ゲットーも当初はレストランが営業していたり、バレエの練習もやってるし、富裕層ユダヤ人たちは割りとそれなりの暮らしをしていたらしい。しかし貧困層は路上で野垂れ死に、死んだあとは衣服を剥ぎ取られていく、、。映画には出てこないが、ゲットーの墓地には毎日毎日たくさんの死体が運ばれてきたそうな(死体が運ばれていく描写はある)。ここではユダヤ人評議会のアダム・チェルニアコフや、孤児院のコルチャック先生なども登場するが、もちろん史実の通り、子供たちのガス室行きを止められなかったチェルニアコフは自殺し、コルチャック先生は孤児たちと共にトレブリンカ行き移送列車の中に消えていく。

後半は蜂起が始まり、SSのユルゲン・シュトロープとヴィルヘルム・クリューガーが登場してくる。最初こそドイツ兵を追い払い戦車も破壊するユダヤ人レジスタンス達だが、もともと貧弱な装備で圧倒的に不利な状況、火砲を持ち出してきたドイツ軍の反撃にはなす術はなく、建物は破壊され、火炎放射器で焼かれ、レジスタンス達は地下壕へ追い詰められていく、、、という感じで話が進んでいくんですが、元々がドラマながらも全体的にきちんと史実を描こうとしているように見受けられて、なかなか丁寧に作っている気がします。Wikipediaと照らし合わせてみると、ちゃんと戦闘の経過が史実通りに進んでるっぽい。

ドラマをつなぎ合わせたアメリカのテレビ映画ということで、ちょっと時間が長いのと言語が英語なのがアレですが、日本語情報の乏しいワルシャワ・ゲットー蜂起について色々参考になった。

徹底的な報復で蜂起を鎮圧したユルゲン・シュトロープは戦後に裁判にかけられ刑死、ヴィルヘルム・クリューガーはドイツ敗戦により自殺した事も、最後に触れられています。
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