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白痴のmononcleのレビュー・感想・評価

白痴(1951年製作の映画)
4.8
オリジナルヴァージョンから無残な100分余のカット。だが、それにも関わらずこれは傑作である。原節子でしかありえない美貌のヒロインは、〈オルフェ〉のマリア・カザレスのごとき冷徹なるナスターシャ像をフィルムにとどめる。くわえて、森雅之迫真の白痴役が効を奏し、雪に閉ざされた札幌という街の類まれなる密室劇に仕上がっている。ドストエフスキーの原作は読んではいないが、黒澤は漱石の〈こころ〉をイメージしたのではないだろうか。一度見ているのに、今作が男二人の心中ドラマだとはおもわなかった・・。多分、黒澤は前作の〈羅生門〉も原節子で撮りたかったのであろう勝手な推察に想いを馳せる・・。
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