億千

白痴の億千のレビュー・感想・評価

白痴(1951年製作の映画)
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時代背景があまりに分からなさすぎて理解出来なかったのか、本来約4時間半のフィルムを2時間46分に短縮して本来の良さが失われてしまったからなのか分からないが、黒澤映画でウトウトしたの初めて…。

まず、白痴=純真・無垢=好きになるの構図が分からない。
那須妙子に関してはまぁ、今まで男性から向けられてきた感情とか、物のようにお金で売り買いされてきた流れを思えば亀田に初めて自分自身を見てもらえたというのが嬉しいのは分かる。でも綾子に関しては私がちゃんと観てなかったのか、気持ちの動きがさっぱり分からん。

んで、後半は綾子は何かあれば部屋を飛び出していなくなるし、那須妙子はヒステリー起こすし…。
誰も好きになれない稀有な映画だった…ドストエフスキーの白痴を読むとまた違うのか?とも思うけど、この映画を観た後に読もうとは思えん…。

しかしビジュアル的には最高な部分もあり。
まず那須妙子役の原節子さん。
いや〜、美しい!!私の中の原節子さんって、「動物のお医者さん」という漫画の中で漆原教授がブロマイドを持っていたという描写ひとつだけで、動いて演技しているのを観るのは初めて。
初登場、玄関で服に積もった雪を払っているあの佇まいひとつで息を呑んでしまった。唯一無二の存在感。オーラがすごい。
そんでまた三船敏郎と絵になる。役柄的には全く相容れなかったけれども、2人並んでいると本当に…なんて言うか…ご馳走様です…。

それと亀田役の森雅之さんも素晴らしかった。羅生門出てたのか…じゃあ初見じゃないけど、今回の役柄もあって、こちらの方がインパクト大。
幸田文原作の映画「おとうと」で露伴先生を演じておられるそうなので、そちらも楽しみに観たいな。
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