八木

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの八木のレビュー・感想・評価

4.8
続編に向けて予習した。
マーベル映画は何見ても肌に合わなかったのだが、これは違いました。1980sから地続きにこのSF世界になってる、ということが冒頭にあって、それに対する無理っぽささえ飲み込んだら、あとは気の利いた脚本とエイティーズに乗ってご機嫌なキャラクターが動いている間に全部が終わってしまうという、娯楽映画の手本のような作品だと思います。
僕は特にエイティーズにも登場キャラにも思い入れはなく、マーベルに強めの苦手意識すらある人間なのに、どうしてこうスッとこの映画が体に沁みるのか考えたのですが、基本的にこいつらが無様なやつらだからだと思います。多くの人間は、ヒーローと程遠い生活をしていて、自ら視野を狭めながら手の届く範囲によく使うものを置いて、安心しながらやっと自分の生活を送っています。ただ、それに納得や満足がなくて、「俺は何かを奪われているのでは」という思いをぬぐい切れず、でも忘れるように、時々は思い出すように、そして解決するように生きていると思うのです。
どこか抜けて、愚かで短絡的で、陽気にすら見える人間たちが偶然に集まり、ガーディアンとして自分のために大きな決意をする瞬間の、「仲間」を宣言するシーン、これは劇場で見てたら勇気と頼りなさとたくましさに震えながら泣いていたと思います。
グルートだけは少し様子が違うように見えますが、3つの単語で明らかな喜怒哀楽を見せて、ギャグ要因だと思ってたところのラスト、4つ目の単語で仲間への親愛・信頼を見せたときに、「このメンバーで良かった」と思いました。基本はずっと、登場人物たちがヘラヘラボケ倒してる映画なのに、嫌味を出さずにこんだけ感動を呼ぶストーリーになってるとは。
背景や予備知識がなくとも伝わる、ただの人間がヒーローとなる瞬間がキラキラと描かれる最高の映画です。続編楽しみです。
八木

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