つかれぐま

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのつかれぐまのレビュー・感想・評価

5.0
20/6/19@大泉#5

スターロード率いる銀河の守護者(笑)。スペースオペラ=薄汚れた世界という歴史を極彩色で塗り替え、MCUを銀河に広げ、それでも弱者を描く。ジェームスガンの作風に揺ぎ無し。

「マンダロリアン」を観て、スターウォーズの魅力はあの薄汚れた世界観にあったんだと改めて気付いた。SWの大ヒット以降、フォロワー作品たちはこぞってそれを真似たのだが、SW以前のスペースオペラはむしろ本作のようなピカピカな極彩色の世界だったと聞く。もしもSWという作品が世になかったら、スペースオペラはこんな進化を遂げていたのかもしれない・・・観客にそれを意識させるためか、意図的とも思えるプロットの相似。EP4公開から40年近く経過して、ようやく現れた「もうひとつのスターウォーズ」。

閑話休題。
そういうサブテキストがなくても、本作のドラマ性は十分に素晴らしい。Vol.2まで見終わった上での感想を言えば、もう本作の段階で既にピーター&ヨンドゥ「父子」の親離れ子離れの話だった(本当にアメリカ映画はこのテーマが大好きだな)。冒頭の悲しい母との死別から、26年後のダンスシーンにジャンプするオープニング。ここが秀逸なのはその多幸感だけでなく、ピーターがこの26年間にどこで何をしてきたのか?観客が勝手に思いを巡らせる想像の喚起だ。「ヨンドゥ、あの孤独な少年をこんな愛すべきバカに育ててくれてありがとう!」そんな想像で泣けてしまう。何度みても素晴らしいオープニングだ。

ヨンドゥは部下の手前、ピーターを殺すふりを見せるが、内面は愛情で一杯なのがマイケルルーカーの演技から伝わるし、その表情は旅立つピーターの背中を押している。飛び出したピーターもまた、ラベジャーズの服を脱がない。そんな二人の絆の強さがたまらんよ。

活劇としての手際の良さもいい。
銀河の勢力図みたいな説明は割と後回しにして、5人のキャラクターをノンストップアクションで一気呵成にみせる。これでもう感情移入はバッチリ。彼らの同類嫌悪展開も「あるある」で面白く、「早くチームになれよ」と気づけば応援している。ラベジャーズ船内でのボンクラ会話の後、どういうわけか(笑)チームが一つになる。ここからの作戦準備モンタージュと、シーンが切り替わるほんのちょっと前に音楽が鳴り始める編集タイミング。このカッコよさには痺れた。

ブラッドリークーパーとヴィンディーゼルの声出演にはビックリ。確かに相当の演技力が必要な役なのだが、こんな大物二人がよく引き受けたな・・と。ケビンベーコンをメタ的にいじり倒したり、俳優との絆の強さが半端ない監督なんだろうな。まるで映画界のルフィーだ(ラベジャーズは宇宙海賊だし)。ほんと、3作目の監督に復帰できて良かったよ。

"We are Groot!"