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新宿乱れ街 いくまで待ってのmotoietchikaのレビュー・感想・評価

3.6
荒井晴彦の新宿愛とナルシズムいっぱいの群像劇
感傷で馴れ合いながら日々を浪費する若さ

* * *

新宿・ゴールデン街を舞台にした群像劇で、人そのものよりも街の空気を描くことに傑出した作品だと思う。「ぼろアパートでセックスする映画」という表現がまさにその通り。ぼろアパート、そこ重要。
登場人物はたいていうだつの上がらない映画監督だったり小説家だったり女優だったり……彼らがみなゴールデン街の一軒の居酒屋に集まってくるということ自体が愛せるよなという荒井晴彦の声が聞こえてくるよう
70年代の映画だけど、新宿ではリスカ女が自慢げに「錆びた剃刀のほうが痛くていいのよ」などと語っていてエモい

冒頭のシークエンスがセックスしたまま寝落ちた男女の会話でクソ面白いのに、少しあとの居酒屋での人物紹介の場面で「二人は姉妹である」「一見 場違いな男」とかいう謎のテロップが出てきて、そら見ればわかるだろ!と思わずツッコまずにはいられない。
上手い部分とやたら雑な部分とが併存している


「惚れてんのか」「やめて! 男と寝るのに理由なんか要るのッ!?」

「どうして女のことなんかで!くだらないじゃねえかよ!オイ!」
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