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百色眼鏡のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

百色眼鏡(2003年製作の映画)
4.2
 自らの内的風景を濃密に描いた椎名林檎の3rdアルバム『加爾基 精液 栗ノ花(カルキ・ザーメン・クリノハナ』の世界観を映像として表現した短編映画。大正から昭和初期の時代を舞台にした本作では、謎めいた影を持つ舞台女優・葛城楓(小雪)と彼女の身元調査を依頼された天城(小林賢太郎)の関係を軸とした、耽美にして淫靡(いんび)なストーリーが展開。
鈴木清順監督の映画のような妖艶で摩訶不思議なジャパネスクな世界観で語られる、素人探偵天城が謎めいた人気女優葛城楓の本名と素顔を探るサスペンスミステリーが浮かび上がらせるのは、優しくおしとやかな部分と男のずるさやしょうもなさを見抜き翻弄する部分の女性の二面性そして相手が望む顔を見せる不思議な部分、男は常に女性に翻弄され見たい顔しか見えないしょうもなさ。
女性の二面性を体現する小雪と椎名林檎の演技に、小林健太郎同様に心地好く翻弄され魅了される。劇中の椎名林檎の曲もステキだし、デカタンスな気分に浸れる贅沢な短編映画。
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