フリッツ・ラング作品は『M』に続いて二作目。『M』に比べるとずいぶん口当たりがまろやかで庶民に優しい印象。
特段驚くような展開がある訳でもなく、よくある話っちゃよくある話なんだけど、それでも十二分に引き付けられるのはさすがといった感じ。
冒頭の荒波、船の周りを飛び交う鳥の群れ、大量の魚の引き揚げ、それを流す工場のライン作業などドキュメンタリータッチの映像からマリリン・モンローが目覚めるシーンへ。その一連の流れがグッとくる。
あくまでも個人的な所感として、おそらくこの作品を観た人の多くは男性女性に限らずアールみたいな男の何が良いんだと思うだろうけど、実際の恋愛となるとえてしてあーいうタイプがモテたりするんだよなーと思う。そしてこの映画のラストのような展開(メイが大切なことに気が付いて許しを乞う)になることも、ほとんど無いのではないかと。
だからこそ、このハッピーエンドがドラマ足りえるのかもしれないけど、もっと突き放したドライな終わり方だったら個人的にはもっと刺さったかなと思ったりもした。