つるみん

GF*BFのつるみんのレビュー・感想・評価

GF*BF(2012年製作の映画)
3.8
【今は流れる涙がそこへ帰っていく】

『血観音』のヤン・ヤーチェ監督作。
主演は『藍色夏恋』や『薄氷の殺人』のグイ・ルンメイ。今作で金馬奨の主演女優賞を受賞。

男2人、女1人の仲良し3人組。そんな彼らの27年間を描く友情と三角関係ラブストーリーであるが、決してキラキラしたものではなく、どこか痛々しく、くどい描写が長く続き、人間の弱い部分やずる賢い部分、はたまた頭の悪い部分をひたすら映していく。自分とはを見つめ直す27年間の行く末は、結局のところ「自由」「解放」といったメッセージを打ち出し、それは前半の学校の広報雑誌のシーンや民主主義を訴えるデモともリンクするが、長年戒厳令があった台湾の歴史的背景や政治的な背景がチラつき、やはりそこを自然と意識させるのがヤン・ヤーチェ監督の特徴なんだろうなと『血観音』と併せて確信に変わった。

それと同時に、この監督が描く「女性」は素晴らしいなと。弱さや脆さはもちろん、女性が持っている強さも描き切る。社会変動の真っ只中で揺れ動く心と3人の関係性は観ていて面白い。
人生は本当にタイミングなのかもしれない。彼らは完全に自分の想いをぶつけるタイミングを失っていた。だからこそずっとずっと苦しい展開が続く。カラオケでのあのシーンからラストまで一瞬たりとも目が離せなかった。彼らの運命がどのように向かっていくのか…。

『あの頃、君を追いかけた』のようなキラキラしたものではないけれど、あの日、あの時、ああしていたら…とままならない人生を描く台湾映画の1つを代表する作品である事は間違いない。
つるみん

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