回想シーンでご飯3杯いける

GF*BFの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

GF*BF(2012年製作の映画)
3.8
ノスタルジックな青春映画を作らせたら敵無しの台湾映画。しかも27年間の月日の流れを追った作品で、これも台湾映画が得意とする手法。

若い人は知らないかもなので、念の為に言っておくと、タイトルの「GF*BF」は、ガールフレンド・ボーイフレンドの頭文字。RCサクセションが'80年に録音したライブアルバムの中で、忌野清志郎が「僕のジーエフを紹介します」とMCで喋っているので、'80年前後は日本や台湾で、使われる事もあった言葉なのだろう。

本作は1985年から2012年までの27年間を舞台に、女1人と男2人の三角関係を描いている。民主化前の'85年、民主化真っ只中の'90年の描写は、当時の台湾の若者達の躍動を生々しく捉え、それ故に時代の流れの中で不器用に大人へと成長する彼等の姿は切ない。

三角関係と言っても、同性愛や不倫も出てくるので、単なるノスタルジックな純愛物語ではない。美しい映像や心に刺さる台詞も多く、舞台はアジアである物のヨーロッパの作品に通じるエッジを感じさせる。

主演のグイ・ルンメイのデビュー作「藍色夏恋」のレビューで、僕は「少女ならではの躍動感や残酷さを、もう少し取り入れても良かったのでは」と書いているのだが、本作の彼女はまさにその理想を具現化している。