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ブルージャスミンのKSatのレビュー・感想・評価

ブルージャスミン(2013年製作の映画)
3.9
ジャスミンにジンジャーにチリと、やたら香りが気になる、それも中華でも食べに来たかのような名前ばかり出てくる。ジャスミンか生姜や唐辛子なら、絶対に前者の方が優雅で後者は胃がもたれそうだ。しかし、実態はどうなのだろう。

ジャスミンは文字通り、優雅な振舞いをする。服やバッグは高いブランドモノばかりだし、やたらワインの銘柄を読み上げる癖があり、趣味の良いジャズを好む。働いたことなんて、あるはずもない。...一体いつの時代の人なんだ。

しかし、実際はどうか。優雅な暮らしは脱税で捕まり、獄死した夫のおかげだったし、今や多種多様な抗うつ剤なしでは生きていけない。それでも自らを女医やインテリアデザイナーと名乗る彼女のような人間が、意外とまわりにいたりするから、かなしいものだ。

対する異母妹のジンジャーは明らかに金持ちではないし、暮らしぶりも全く上品ではない。いかにも頭の悪そうなチリとくっ付いたり離れたりしている。

だが、まず間違いなく借金はないし、生活を追い詰める要素はどこにもない。友人達と好き勝手に騒いで生きている。全く美人ではないが、「半魚人を引き寄せるレベル」には可愛らしい笑顔を持つ。

果たして、どちらが幸せなのか。ウディ・アレンはそんなわかりやすい問いを、回想を入れたりまた戻ったりを繰り返す「アニー・ホール」的アプローチで観客に投げかける。これを目新しいモノと見るのは少し無理があるが、こうやって原点回帰するくらいにはウディ・アレンも後期高齢者なのだと思い知らされる。