みきちゃ

ブルージャスミンのみきちゃのレビュー・感想・評価

ブルージャスミン(2013年製作の映画)
4.9
日本時間の明日は第92回米国アカデミー賞。今回の予想はいつにもまして難しい (と毎年言ってる気もする)。去年は誰が取っても誰かが取らないことで残念がれたけど、今年はそんなことにはならなさげなノミネートになっててホッとしている。楽しみ。

2010年代のアカデミー賞を振り返ると、主演女優賞で一番納得したのがこのケイト・ブランシェット様だった。

嗚呼、ジャスミン。痛い、痛いねえ。あはれな没落ぶりと、捨てられない虚栄心。全てを失ったジャスミンの一文無し人生の再スタートでもファーストクラス旅。シャネルにバーキン、フェンディ、エルメス、ヴィトンは意味不明。最高か。

ウディアレンの人物描写は凄い。ジャスミンが周囲から嫌われる所以がよく分かるのとは裏腹に、多くの観客はそこまで彼女を嫌いにはならないんじゃないだろうか。とにかく困ったさんだし、セレブ崩れみがあまりにみじめだし、ぶつぶつ言っててやばいし、色々しくじるし、全然学ばないんだけど、何故か不快感が無い。ウザくない。屈折した痛い人こそが、ピュアで純情なハートの持ち主なのではと思えてくる。

そんなジャスミンだから単純に応援する気持ちにはならない。共感もない。同情もない。滑稽だと割り切って笑い飛ばすこともできない。ジャスミンを斬ろうとする観客は、ウディ・アレンに先手を打たれて鋭く皮肉られている。

ウディ・アレンが生んだジャスミンという女性を好演するケイト・ブランシェット様も凄い。

妹役のサリー・ホーキンス。演技派女優のお二人が奏でる不協和音。でもハーモニーは見事。たまらん。

 「私の抗うつ剤は6種類のミックスで通称“カクテル”。でも効くのはウォッカ・マティーニだけ」
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