三流

ミケランジェロ・プロジェクトの三流のレビュー・感想・評価

3.4
良くも悪くもジョージ・クルーニー監督らしいと言えばらしい作品でしたね。
コメディテイストなところまではいかないまでも、戦時中の割に微妙に緊張感が薄かったりで、終始掴みどころがなく、それでいて淡々としていましたから、個人的にはどこかのりづらいと言うか、いかにもクルーニっぽい作風に、もう一つ入り込み切れなかったところも・・・。
ただ、これが実話ベースだと言う事実にはかなり驚かされましたね、こう言う歴史を知れただけでもとりあえず見る価値はあったなと思えた作品でした。
美術には全く詳しくないので、若干ピンと来ない部分もありましたけど、こうやって命を懸けて美術・文化を守った人達がいたからこそ今があるんだなと、その事実には十分感動させられました。

しかしジョージ・クルーニーにマット・デイモンが揃うと、十分戦禍を潜り抜けられそうなイメージも湧いてしまうのですが、その実は思いっ切り戦争の素人達が集まった集団だったんですね、美術のプロでも戦争は素人、その辺りでクスッと笑えるよう持って来る辺りはさすがクルーニーと言った感じだったでしょうか。
ビル・マーレイやジョン・グッドマンやボブ・バラバンと言った脇役達も、どこかコミカルでちょっと面白かったです。
逆にその分、彼らの美術品に対する思いがもう一つ伝わりきらないところもあったりして、その辺りは一長一短と言えなくもなかったのですが・・・。

まあしかし劇中でも描かれていましたが、人と美術品のどっちが大事なんだと言った部分は賛否両論ありそうですね、でも信念をもって行動し、時には犠牲を払いながらも命を懸けて守る価値があると信じて行動した彼らのことは、決して責めることは出来ないし、むしろ称賛されてもいい事実なのではと思わされましたよ。
ただ、様々な国が絡んだ重要文化財だけに、デリケートな問題も含みそうで、そう単純には語れないであろうことも想像に難くはないのですが。
ところで結構有名な戦地も出てきましたが、そう言った戦争の裏にはこんな事実も含まれていたと言う、その歴史の深さには、まあ何かと考えさせられることも多かった作品ではありましたね。
三流

三流