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ミケランジェロ・プロジェクトのshowのレビュー・感想・評価

3.5
戦争をしているときに、美術品は救うべきか?

「そんなことをしている場合ではない」という意見もあるだろう。でもこの映画では、そうではない。最初、美術品救出部隊を率いるストークス(G・クルーニー)は、美術品が人類の歴史にとって重要だとしつつ「命より大切な美術品はない」と言っていた。しかし、命を賭けて美術品を守ろうとしたドナルドら仲間の死以降、「命を賭けて美術品を守ろうとした仲間のためにも、美術品を救う」という態度へ変化していく。

実際、美術品含む文化財は、人々の気持ちに強い影響を与えるものとして、戦争や占領のさいに狙われる。近代以降だと、アルカイダによるバーミヤン遺跡の破壊、日本による景福宮内の総督府設置などが思いつく。この映画の場合は、政治的意図よりも、ヒトラーが画家として不成功だったという経歴が美術品の独占と破壊の理由にされているけれど。

そういう意味で、けっこう普遍的な問いを立てている映画である。ただストーリーはこの問いに対して「この話、要る?」的なものもあったかな…。仲の悪かったキャンベルとサヴィッツの和解、グレンジャーの地雷エピソードとか。映画として抑揚が必要だからなのかもしれないけれど、ちょっと普遍的な問いがぼやけたな、と思った。
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