イチロヲ

ドレミファ娘の血は騒ぐのイチロヲのレビュー・感想・評価

ドレミファ娘の血は騒ぐ(1985年製作の映画)
3.5
憧れのミュージシャンとの邂逅を期待している少女(洞口依子)が、彼の在籍先となる大学心理学科を訪ねる。大学の日常風景を超現実的に描写している青春ドラマ。元々は日活ロマンポルノ「女子大生 恥ずかしゼミナール」として製作されたもの。

絵作りから台詞まわしまで、黒沢清監督の作家性が芽吹いている作品。心理学科の教授(伊丹十三)を中心とする人間模様を主軸にして、ヌーヴェルヴァーグをシニカルに揚げ足取りしているような作風。

ゼミの関係者をアウトローのように描きながら、「性的欲動の不思議」に言及していく。口では高尚なことを言っているが、結論に至ることはない、という皮肉が笑いどころ。また女優陣の瑞々しいヌードでは、麻生うさぎの中性的な痩身が印象に残る。

筆者は、女子がほとんどいない男子校のような大学に通っていたので、ヒロインの「大学って(セックス在りきの)お祭りみたい」という台詞への同調が難しい。だが、大学生の生態を俯瞰して眺めているような感覚には、同調の余地がある。
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