マーチ

キューティー&ボクサーのマーチのレビュー・感想・評価

キューティー&ボクサー(2013年製作の映画)
3.8
【感想】

「クレイジージャーニー」がきっかけで、この夫婦のことが大好きになってしまった。

芸術家のドキュメンタリーといえば、作品の裏話や足跡、これまでのキャリアや葛藤、作品や芸術にかける思いなどを描いたものが多い中、この作品はひたすらに夫婦の「生活」を映し出し、芸術と隣り合わせにあるリアルな日常を描いている。

芸術家は潔癖で神聖な人間的偶像として描かれることが多いが、この作品に映る篠原夫婦はジリ貧でありながらも自分の好きなことや作品に投影した熱量の大きさから、とても身近な人たちに感じられる。その親近感が、自分がこの夫妻に愛着を持った理由の1つであり、このドキュメンタリーが単純ではない面白さを内包している理由でもあると思う。

2人ともエネルギッシュで人間として純粋にめちゃくちゃ興味のわく人物だし、いつか大金が舞い込んで報われる日がやって来て欲しいと願うが、それでもこの夫妻は妥協しないだろう。ふと北野武監督の『アキレスと亀』を思い出した。
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