yohey

鑑定士と顔のない依頼人のyoheyのレビュー・感想・評価

鑑定士と顔のない依頼人(2013年製作の映画)
4.0
劇中の機械人形を徐々に組み立てていくシーンのように細部まで計算されたシナリオは厳密に動き、寸分の狂いもなくある結末に行き着く。

絵画に描かれている女性だけを愛してきた老人の、自分を守るかのように常に身に付けていた手袋は、他人との深い関わりや外部からの干渉を拒絶している象徴のようで。
ある女性に心を惹かれ、次第に"手袋"をしなくなる。
それはまるで目の前の世界が広がっていることだと思えたその手は、綿菓子みたいに甘く、
溶けた後は名残り惜しさだけを香らせる棒切れのように何も残らない、剥き出しになった手が最後に映る。

組み立ててきたものが完成する様と、積み上げてきたモノが崩壊する様のコントラストが、絵画・機械・手(愛)で表現されてて(勝手にそう思ってる)とても素晴らしかった。

本当は5を付けたいけど、自分がおじいちゃんっ子なので4にしました。割愛
ただまぁ因果応報だとも若干思ってる。
yohey

yohey