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鑑定士と顔のない依頼人のkarmapoliceのレビュー・感想・評価

鑑定士と顔のない依頼人(2013年製作の映画)
4.3
「贋作の中にも本物が潜んでいる」なるほどと感心するやら、羨ましく思うやら、しかしやはり悲しく虚しい思い。もう1度観て間違いなく好きな映画なのだと思った。酷いストーリーなのに何故にこれだけ惹きつけられるのか?

久しぶりの再鑑賞。3年半ぶりの2度目の鑑賞。最初から気に入っていたので、もう少し早めに観たかったがようやくの鑑賞。一流鑑定士にして、オークショニアのヴァージル・オールドマンの恋物語。ミステリー仕立てで姿を見せない女からの謎めいた鑑定依頼に翻弄される様を描いている。

2度観ると違った楽しさを味わえるようなキャッチコピーもあったが、けっこうその通りだったかも知れない。美術品や邸宅やインテリアなど観れば観るほど惚れ惚れするし、モリコーネの不穏なメロディラインや不協和音にも痺れる。壁に向かって語ったり、覗き合ったり奇妙なやりとりにも魅力がある。壁の向こう側の彼女が完璧な美女では無いのも面白い。

しかしその反面随分あざとくミスリードを誘う演出も多い様にも感じられてしまう。おそらく1度目よりも冷静にじっくり観る事が出来たからだと思う。

そして何と言ってもオチが悲しく虚し過ぎる。ヴァージルは全てと言ってもいい程に、多くの大事なモノを同時に失うのだから・・・・。しかしそこにも大変惹きつけられる。ラストシーンは「贋作の中に潜んだ本物」を待つ姿にも思えるが、振り返るだけの姿にも思える。

このラストシーンを観るとあざとい演出でミスリードを誘ったのでは無く、凝りに凝った贋作をヴァージルと共に鑑賞したのではないかと思えてくる。ミステリーでは無いのかも知れない。奇妙で酷い物語なのに不思議と凄く魅力的に映る(笑)



2014.10.13
80点 『ニュー・シネマ・パラダイス』のジュゼッペ・トルナトーレ監督でモリコーネの音楽ならばと私的には期待はかなり大きかった。しかしその期待を心地良く?!裏切るような感動的とは言えないストーリー展開も意外と嫌いではなかった。私的にはけっこうあれでスッキリして面白味を感じたかも。独特の世界観や映像美もやはり好きなタイプだった。モリコーネの音楽も少々掴みにくいけど映像にピッタリで良かったと思う。
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