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鑑定士と顔のない依頼人のnaoズfirmのレビュー・感想・評価

鑑定士と顔のない依頼人(2013年製作の映画)
3.7

沢山の要素を含んだ作品🎬

ストーリーは美術鑑定士の主人公が姿を明かさない女性からの謎に満ちた鑑定依頼に翻弄される姿を描いた作品でした。今作のドナルド・サザーランドは「24シリーズ」のキーファー・サザーランドのお父さんという驚きでした。

ストーリーは彼女がオールドマンに電話を掛けたシーンから仕掛けは始まり気を持たせ誘惑し、女性って怖いです。数ある伏線の中でこれが一番印象に残りました。姿を消したクレア捜索の際に相談されたビリーは、ヴァージルに「人間の感情も、芸術と同じで偽装できる」最初この映画を観た時は意味深な台詞だと思いましたが、映画が終わってみると、そういうことか!この作品スゲェーなって思いました。他にもクレアとの食事シーンでの台詞で「いかなる贋作の中にも必ず本物が潜む」です!!今作は多くの伏線が張られていますが、その中でもこれが一番印象に残りました。個人的には「偽物の恋愛感情も真実の恋のように見えてしまう」と感じました。

そして、原題の"Best Offer"オークション中の売り文句で「最良の出品物です」という言葉に潜ませ、ヴァージルが共犯者ビリーに「この商品は競り落としてほしい」と伝える時の暗号でした。しかし、この言葉にはもう一つ意味があり、「売り手が提示した額には足りてないけど、自分が出せる精一杯の額を提示する」ことです。この言葉には
・「最上の出品物」という言葉通りの意味
・「犯罪の符丁」という意味
・「自分には手に入らない高嶺の花」の象

・「自分が出せる精一杯の金額を払う」か
ら「生涯をかけた肖像画コレクション
を奪われる」を連想

そしてそうまでしても手に入らなかった真実の愛、それこそがヴァージルにとっての「高嶺の花」だったという痛烈な皮肉など想像が止まりませんでした。全ての点が線で繋がる凄さをこの映画から学びました。
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