ずどこんちょ

鑑定士と顔のない依頼人のずどこんちょのレビュー・感想・評価

鑑定士と顔のない依頼人(2013年製作の映画)
3.8
え、これは切ない……!!
救われなさすぎて、ちょっと最後のレストランのシーン正視できなかったり。でも、現実にこういう結末を迎えるおじいちゃんたちっているんだろうなぁ……

優秀な美術鑑定士のヴァージルが、とある奇妙な依頼を受けるところから物語が始まります。
ヴァージルとの対面を避ける依頼人のクレアは亡くなった両親が収集した美術品の鑑定と競売を依頼するのですが、広場恐怖症のクレアは人前に出られず、情緒不安定の彼女にヴァージルは振り回されます。
ある日、屋敷に潜んで彼女の姿を確認して以来、ヴァージルはクレアに惹かれていくようになりました。

恋愛経験の少ないヴァージルが協力者の職人ロバートのアドバイスを受けて、少しずつクレアと心の交流を深めていく大人のラブストーリー。
……なのですが、驚愕のラストに繋がっていきます。

監督はあの名作『ニュー・シネマ・パラダイス』を手掛けたジュゼッペ・トルナトーレ監督、主演はアカデミー俳優のジェフリー・ラッシュです。渋味の光るヴァージルを好演しています。
最初に一人でフレンチレストランで食事しているシーンを見て、阿部寛の『結婚できない男』を思い出しました。
結局、あれほど偏屈者ではありませんでしたが、ヴァージルも経験値の少ない恋に盲目的になってしまい、女性に翻弄されるタイプでした。
美術鑑定は優秀な目を持っているのになぁ……

「いかなる贋作の中にも必ず本物が潜む」

彼がかねてから口にしていた美術鑑定のルールです。
そのルールを信じたヴァージルの結末……必見です。
嗚呼、切ない。