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ザ・カラテ2のドントのレビュー・感想・評価

ザ・カラテ2(1974年製作の映画)
3.0
 1974年。前作で盲目となったが父の記憶、祖母の言葉、あと気合とかでどうにか勝利した山下タダシ。カラテ世界王者となった彼を世界各国の格闘家たちがとにかく襲う!
 あらすじ、オープニングを済ませ、屋台でラーメンをすすっている山下タダシの背後からニューギニアの刺客、ギロチン・ブラザーズ(上半身黒塗りの日本人)(でもカタコト日本語)が襲ってきた開始3分半でこちらの常識が崩壊、これから何が起きても受け入れられる態勢となる。だがこの映画はそんなレベルではなかった。
 意味もなく石灯籠を蹴り壊す韓国人、キノコヘアーに道着で鉤十字を背負ったドイツ人、いきなり頭突きでフロントガラスを割るヤン・スエなどが矢継ぎ早に紹介されて理性までもがバラバラになる。続いて国宝の刀を運び美術館から空港へ向かう車が何故か山奥の崖道を走る。おかしいやろと思ってたらダイナマイトが爆発し、刀を盗もうとしているとはわかるものの刀が壊れたらどうすんの? と前後不覚となった所に敵の信じられない技(肋骨粉砕、内臓破裂!)が炸裂、脳が沸騰して一回休憩を挟んだ。
 とは言え以降は、タダシを狙う格闘家+タダシの恩師に恨みのある組織と戦いつつ「好敵手」「子供との交流」「子供の成長」などの穏当な展開となる。序盤の気の狂い方はなんだったのかわからなくなるくらい普通のお話となり、バトル、爆破、大立ち回り、タイマンなど見せ場をキッチリと締めてさわやかに終わる。
 まぁ「Dr.ワン」というナイフ使いが医者になりすまして手術室のタダシを襲うとか、タダシがケガした足で木を蹴るのに子供が「痛くないの?」と聞くとタダシが「……イタイヨォッ!」と答えるとか、色々おかしいかもしれない。こちらの脳がガバガバになっている可能性もある。
 格段に日本語が上手くなり、演技は拙いがそれが逆に朴訥な印象となるタダシを筆頭に、敵の皆さんも含め前作より演技面では向上。その分前述の、序盤のトバし方の凄みが際立つが……。ロケーションやセットはリッチになったものの前作のラストバトルのような異様迫力はない。ヤン・スエがとにかくかっこよいことと、ラストでガッツポーズを決めながら「ホァーーッ、ホォーッ!」と怪鳥音を叫ぶタダシのインパクトだけが残る。いいか悪いかはともかく、体に効く感じのする映画だった。
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